インデックスとアクティブは、どちらが正解という話ではない
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この記事でわかること
- インデックスは指数というものさしに沿う運用、アクティブは別の結果を目指す運用である
- コストは高い低いだけでは判断できず、中身と見合うかを見る
- どちらが正しいかではなく、目的と期間と続けられる振れで選ぶ
投資信託という入れ物は同じでも、中の作り方は大きく二つに分かれます。指数というものさしに沿おうとする運用と、そのものさしとは違う結果を目指す運用です。前者がインデックス、後者がアクティブ、と呼ばれることが多いです。
名前の印象で、片方が初心者用、片方が上級者用、と分ける必要はありません。違いは、誰が中身を決め、何を成功と呼ぶか、です。この記事は、その違いの見取り図です。どちらを買うか、という結論は置きません。
指数は、市場をまとめたものさし
指数は、特定の市場や地域の株式を、ルールに沿って束ねた指標です。米国の大型株を広く含むもの、日本の市場を代表するよう設計されたもの、世界の株式を時価の大きさで広く含むもの、といった違いがあります。指数そのものを、店頭で一個買うわけではありません。指数の動きに沿うことを目指す投資信託や、似た形の商品を通じて、その束に参加します。
沿う、というのは、完全に同じ値動きになる、という約束ではありません。信託報酬などのコスト、配当の扱い、現金の比率、取引のタイミングで、指数と商品の間には差が出ます。目論見書には、どの指数を目安にしているかが書かれています。名前が似ていても、目安が違えば、中身は別です。
インデックス運用では、運用する人が「この会社は好きだ」と選んで割合を大きく変えることは、原則としてしません。指数に含まれている割合に近付ける、という仕事が中心です。個別の会社を深く調べなくても、その市場全体の動きを幅広く取り込める、というのがこの型の分かりやすさです。
分かりやすいことは、万能であることとは違います。市場が下がれば、沿っている商品も下がりやすいです。特定のテーマだけを持ちたい、ある会社だけを避けたい、という希望には向きません。短期で大きく増やすことを目的にした設計でもありません。
アクティブは、別の結果を目指す
アクティブ運用は、市場平均と同じになることをゴールにしません。調査にもとづいて銘柄や資産を選び、割合を動かし、入れ替えます。目指す先は、目安とする指数を上回ること、下落の局面で振れを抑えること、特定のテーマに集中することなど、ファンドごとに違います。
担う人の仕事は、四つに分けて見ると分かりやすいです。企業や市場を調べること。投資先を選ぶこと。割合を調整すること。状況が変わったら入れ替えること。この工程があるぶん、結果は運用する人やチームで違います。同じ「アクティブ」でも、中身は一枚岩ではありません。
上回ることを目指す、と書いてあっても、上回るとは限りません。下を抑えることを目指す、と書いてあっても、抑えられるとは限りません。過去の一期間の成績がよかったことも、この先の再現を意味しません。見るなら、どの市場環境のときに、どのような方針で、何と比べて、そうだったかです。
違いを、一つの表にすると
言葉が似ているので、比べる軸を固定したほうが楽です。次の表は、優劣ではなく、役割の違いです。
| 見ること | インデックス | アクティブ |
|---|---|---|
| 目指すこと | 指数の動きに沿う | 指数とは違う結果を目指す |
| 中身の決め方 | 指数の構成に近付ける | 調査と、運用者の判断 |
| 結果のばらつき | 同じ指数なら、商品間の差は比較的小さい | 運用者によって大きく分かれる |
| コストの傾向 | 運用の手間が少ないぶん、抑えやすい | 調査や入れ替えのぶん、上がりやすい |
| 向いている問い | その市場を、広く持ちたい | 方針に合わせて、中身を変えたい |
コストの「傾向」は、個別の商品の率ではありません。実際の率は商品ごとに違います。年率の桁を、この記事で「ふつう」とは呼びません。目論見書と、運用報告書で確認します。
コストは、高い低いだけでは決まらない
手数料が高いものを避けたほうがよい、手数料が低いものが一番よい、アクティブなら成果が出る。この三つは、どれも短絡です。コストは、払ったあとに手元に残る結果を削ります。だから無視はできません。同時に、コストの数字だけを見て中身を飛ばすと、何に払っているのかが分からなくなります。
身近な食事に置き換えると、回転寿司と、カウンターで一皿ずつ相談する店の違いに近いです。前者は、品質のばらつきを抑え、多くの人が使いやすい値段に寄せています。後者は、その日の材料と、頼む人の希望で組み合わせが変わり、値段も上がりやすいです。高い店が必ず満足を渡すわけでも、安い店が劣るわけでもありません。払った金額に、見合う中身があるか、です。
投資信託でも同じです。インデックスの低コストは、市場全体をシンプルに持つ、という価値とセットで見ます。アクティブのコストは、調査、下落局面での対応、入れ替えの判断が、そのコストを上回る中身になっているかで見ます。過去の短い期間の成績だけで、その中身は判断できません。市場が順調な時期と、厳しい時期の両方で、その投資信託の報告書に書かれた中身とコストを見ます。
目的から、組み合わせを考える
選ぶ問いは、「インデックスか、アクティブか」の二者択一になりやすいです。実際の問いは、何のためか、いつ使うか、どのくらいの振れなら続けられるか、です。
市場全体の成長を、手間を抑えて幅広く持ちたい。その問いには、インデックスの説明が合いやすいです。特定の方針で、割合を動かしてほしい。下落の痛みを、市場そのままより小さくする試みにコストを払う意味があると感じる。その問いには、アクティブの説明を読む理由が生まれます。どちらも、目的が先です。
期間も無視できません。数年以内に使うお金を、値動きの大きい株式中心の指数だけに置くと、使う直前の下落が生活に直結します。期間が長いお金は、途中の下落をまたぐ余地があります。ただし、長いことと、減らないことは別です。使う時期が近づいたら、振れの小さい資産の役割を増やす、という考え方は、出口戦略の側で扱います。
時間と時期と値動きの違いを先に分けたい人は、長期・積立・分散から読むと、この二つの運用がどの枠に入るかが見えやすくなります。広く知られた株価指数の注意点は、S&P500とオルカンの注意点に分けました。
目論見書で、先に見る欄
商品の名前から入ると、広告の一文で判断が終わります。入れ物の型を見るなら、目論見書の欄を先に固定したほうが迷いません。
目安にしている指数の名前。その指数が、どの地域の、どの資産を束ねているか。保有しているあいだかかり続けるコストの説明。購入時や換金時に別途かかる費用の有無。分配を、再投資するのか、現金で受け取るのか。直近の運用報告書が、何と比べて成績を書いているか。
同じ指数を目指す商品でも、コストと、分配の扱いと、現金の置き方で、手元の結果は揃いません。逆に、名前が似ていても、目安の指数が違えば、別の市場を持っています。比較は、同じものさしの上で行います。ものさしが違う商品の成績を並べても、どちらが上手かったかは分かりません。
過去の成績の欄は、最後に見ます。よい期間だけが表の上に出ていることがあります。市場全体が上がっていた時期の数字は、運用の工夫の結果とは限りません。何と比べて、どの期間で、そうだったかを一文で言えないなら、その欄はまだ読めていません。
名前ではなく、方針を読む
インデックスとアクティブに、固定の優劣はありません。あるのは、ものさしに沿うのか、ものさしと違う結果を目指すのか、という方針の違いです。方針が自分の目的と期間に合うか。コストに、説明できる中身があるか。過去の成績を、条件つきで読めるか。
商品名から入ると、この順番が逆になります。先に目的を書き、次に期間を書き、そのあとで入れ物の型を見る。その順番のほうが、あとから「思っていたのと違う」が減ります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。